よもぎ蒸しの目的とは?
年齢が25,26,27歳であった人々のデータは、その人が30歳になった時に正の支出した割合を予測するために用いられている。
実際、予測値と現実の値は非常に近いことがわかる。
最後に、労働期間全体を通じた正の医療支出をしていた人の割合の予測値を表している。
これらは、まず性別、雇用形態ごとに25歳の労働者1,000人をサンプルとして、(式と(式を繰り返し用い、それぞれの人の55歳までの医療支出の流れを予測したものである。
ある年齢の割合予測値は、正の医療支出をした人数の予測値を用いて作られたものであり、現実の割合は実際の正の医療支出をした人数に基づいている。
サラリーマンについては予測値と実際の値が非常に近い1方、時間給与者の予測値は実際の値よりも幾分低く、医療支出がない加入者をある程度過大に見積もっていることがわかる。
しかし、全体としては医療支出の予測値は実際のものとかなり近いと判断できる。
上記の記述統計からみると、医療支出の持続性は考えられてきたほど大きくはない。
しかし、われわれが見たいのはMSAの労働期間全体での残高が加入者によってどのように異なるかという点である。
医療支出に対して振込額を使い切ってしまう人々が多数いる1方で、ほとんど医療支出を使わない人がいるのだろうか。
それとも、MSA残高の分布はそれほど極端ではないのだろうか。
この問いに答えるために、労働期間全体を通じた総医療支出額を予測した。
シミュレーションには、現実の値から支出構造をモデル化した多期間の医療支出のモデルを用いた。
そのモデルの主要な特徴については、すでに見た通りである。
また、予測値と実際の値について詳細なモデルの評価を行った結果、このモデルは良く当てはまることがわかっている。
重要な点は、このモデルが単に多期間の医療支出の平均的な関係をとらえているだけではなく、現実に医療費の持続性が観察されるならばその特性を反映したものになっているという点である。
このモデルを用いて、1,000人の労働者に対して25歳の労働開始年齢から60歳の退職年齢までの総医療支出額を予測した。
たとえば、26歳時の医療支出を予測するためには、年齢、性別、雇用形態、過去6年間の医療支出が考慮されている。
そして、27歳の医療支出を予測するためには、この予測された26歳の医療支出とそれ以前5年間の現実の値が考慮されている。
同様にして、予測値を用いつつ先行きを予測するのである。
ある労働者が同じ会社にずっと勤め続けるとは考えにくいが、ここでは労働者が同じMSAに入り続けていると仮定して支出構造をとらえている。
60歳までの男女の医療支出総額の累積分布が示されている。
労働期間全体をまとめるために現在割引価値に直すと、この医療支出額は、1万ドル(労働者の約10%)から10万ドル(労働者の約10%)の間に分布しており、中央値は3万2,000ドルである。
この支出分布を用いてMSAが実際に機能するかどうかを調べる。
われわれが例示するMSA案は次のようなものである。
まず、雇用主は各年はじめに、加入者たちのMSA勘定へ2,000ドルを振り込む。
例として、MSA残高にある資金は、債券とS&Pの株式指数投信に運用されるとする。
債券の実質利回りは2.5%と仮定している。
これは、労働者たちはMSA勘定から医療支出以外の目的で引き出しをしないと仮定する。
また、振込額は毎年2,000ドルを下回らないと仮定する。
これらの仮定によって、MSAの導入によって起こる残高の分散は、その最大値を示すことになると思われる。
医療保険によって100%支払われることとする。
また、もしMSAの残高がゼロになった場合には、すべての支出は保険から支払われるとする。
MSAの運用利回りを実質額で定義しているために、医療支出は消費者物価指数と同じ伸び率で上昇すると仮定することになる。
ほかの仮定を用いることによって、感応度分析を行うことも可能である。
これらの仮定のもとで、MSAの60歳時点における残高の分布を見たものがある。
労働期間の終了時にほとんどの労働者はかなりの資産蓄積が残っている。
株式指数投信に運用した場合には、男子労働者の残高の中央値は、25万ドルである。
全体の約90%の人々は15万ドルを超えている。
女子労働者についてはその中央値はいくぶん25万ドルよりも低いが、全体の約90%は10万ドルを超えている。
債券に運用した場合にはこれらの値は大幅に低下する。
残高の中央値は、男子については10万ドルを若干上回り、女子については10万ドルを若干下回る。
毎年2,000ドルの振込額を労働期間全体について総計したものをMSAの60歳時点の残高と比較した振込額比率を見る方が、MSA導入の意味するところがわかりやすいだろう。
この振込額比率の分布が示されている。
株式指数投信に運用した場合には、男子労働者の振込額比率の中央値は約350%であり、女子労働者の場合には325%である。
振込額比率が200%を下回る男子労働者の割合は10%にすぎず、125%を下回る女子労働者も10%である。
また、振込額比率が450%を上回る労働者も男女でそれぞれ10%ほど存在する。
したがって、ここに例示したMSA案では、典型的な労働者にとってはかなりの残高が蓄積されることになる。
残高をバランス良くさせるような変化を起こさない限り、典型的な労働者は退職時にかなりの資産増加を得ることになる。
また、資産蓄積の程度は毎年のMSA入金額に大きく依存することは明らかであろう。
この資産蓄積額はやや過小推計である。
シミュレーション上の技術的な問題として、2年分ごとに予測値を計算している。
このため、定額自己負担を2年分合算した8,000ドルとしている。
しかし、これは労働者の医療支出を過大に見積もらせることになるだろう。
また、運用の利回りは残高×(1+γ)×(1+γ)というように、2年ごとの利回りを掛け合わせて作成しているが、これも、連続的に運用するよりも低い利回りとなってしまう。
低貯蓄率である多くのアメリカ人家計にとっては、それほど多くなくても医療支出を全額自己負担することは難しく、高額医療保険の市場は成立しにくい。
MSAは、高額医療保険を導入したもとで医療支出を賄う貯蓄を蓄積させる1つの手段である。
そして、MSAの導入により、各個人は広い意味での治療に対して、その便益とそのコストを比較して決定するようになる。
しかし、このMSAと高額医療保険の組み合わせには潜在的な障害がある。
それは、もし継続して高額医療支出をする人々が存在し、1方で継続して医療支出がほとんどない人々が存在する場合には、MSAは前者に対しては単なる自己保険を課し、後者に対しては無税の貯蓄手段を提供するにすぎなくなるという問題である。
ここでは、個人の医療支出構造がMSAの導入にあたって深刻な限界となるかどうかを検討してきた。
そして、医療支出の持続性がある程度存在するものの、高額の医療支出を継続する見込みは少ないことが判明した。
ここの分析は、私らが以前行った研究の続篇ともいえるが、前論文よりも長期のパネルデータを用い、医療支出がない個人を離職者と区別できるようになった点が異なっている。
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